試験デザイン

目的

非ステロイド性抗炎症剤の経口製剤(経口NSAIDs)で十分な鎮痛効果が得られない中等度から高度の疼痛を有する患者におけるノルスパン®テープの有効性と安全性をプラセボと比較して検討した。

対象

日本人の変形性関節症患者(膝関節/股関節)および腰痛症患者

〈主な選択基準〉

1) 変形性関節症

  • 40歳以上の男女
  • 臨床試験開始前1年以内のX線所見において骨棘形成が確認され、かつ関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の硬化像、および軟骨下嚢胞の少なくとも1所見が確認され、股関節または膝関節の変形性関節症と臨床的に診断された患者
  • 観察期およびノルスパン®テープ貼付開始時点において「変形性関節症評価部位の過去24時間以内の平均疼痛強度」が11ポイント疼痛評定尺度で5ポイント以上ある患者

2) 腰痛症

  • 20歳以上の男女
  • 非悪性疼痛病因を伴う腰痛と臨床的に診断されてから4週間以上経過している患者
  • 観察期およびノルスパン®テープ貼付開始時点において「腰部における過去24時間以内の平均疼痛強度」が11ポイント疼痛評定尺度で5ポイント以上ある患者
症例数

1)変形性関節症181例(有効性評価対象(FAS*1)140例:ノルスパン®テープ投与群66例、プラセボ群74例)
2)腰痛症185例(有効性評価対象(FAS)138例:ノルスパン®テープ投与群69例、プラセボ群69例)

*1 FAS(Full Analysis Set):最大の解析対象集団

投与方法

〔観察期〕経口NSAIDsを2週間投与しても十分な鎮痛効果が得られない患者を選別した。

〔用量漸増期〕ノルスパン®テープ5mgから貼付を開始し、鎮痛効果および忍容性を確認しながら平均疼痛強度がベ一スライン(貼付開始日前日の値)から2ポイント以上低下することを目標に、2~4週間かけて漸増した後、5mg、10mgおよび20mgいずれかの用量を決定した。

〔二重盲検相〕ノルスパン®テープ投与群とプラセボ群とに無作為化し、最大12週間貼付した。忍容性に問題があり継続不可能な場合、あるいは「鎮痛効果不十分*2」になった場合は貼付を中止した。また、忍容性に問題がある場合は1段階ずつ減量可とした。

*2「鎮痛効果不十分」と判断する基準(①または②を満たす)

  • ①過去24時間以内の平均疼痛強度(0~10)がノルスパン®テープ貼付開始前日の値に比べて二重盲検相で2ポイント以上低下していない日が3日連続した場合。
  • ②疼痛のため二重盲検相中に鎮痛療法の変更や追加が必要になった場合。
評価項目

①有効性;
〔主要評価項目〕二重盲検相での最初の貼付から「鎮痛効果不十分」となるまでの期間
〔副次的評価項目〕二重盲検相中に「鎮痛効果不十分」となった患者の割合

②安全性;有害事象

解析計画

①有効性;主解析はFAS解析集団、副次的解析はPPS*3解析集団を対象とした。
主要評価項目はログランク検定、副次的評価項目はフィッシャーの正確検定を用いた。共変量による影響を調整する場合は、それぞれCox回帰モデル(有意水準は両側5%)、logistic回帰モデルを用いた。
②安全性;無作為化安全性評価対象集団を対象に、期間ごとに有害事象一覧を作成した。

*3 PPS(Per-Protocol Set):治験実施計画書に適合した対象集団

変形性関節症1)

有効性

主要評価項目

二重盲検相での「鎮痛効果不十分」をイベントとしたカプランマイヤープロットは以下の図の通りであった。イベント発生までの期間は、ノルスパン®テープ投与群ではプラセボ群と比較して有意に長かった(p=0.0211、ログランク検定)。

カプランマイヤープロット(FAS)
副次的評価項目

「鎮痛効果不十分」となるイベントが発生した患者の割合は、ノルスパン®テープ投与群15.2%(10/66例)、プラセボ群33.8%(25/74例)と、プラセボ群に比しノルスパン®テープ投与群で低く、両群間に有意差が認められた(p=0.0119、フィッシャーの正確検定)。

鎮痛効果不十分となった症例の割合

安全性

安全性評価対象181例のうち、有害事象の発現率は88.4%(160例)であった。
各治療相における有害事象発現率は以下の通りであった。
〔用量漸増期〕有害事象の発現率は、85.6%(155/181例)であった。主な副作用は、悪心92例(50.8%)、便秘51例(28.2%)、嘔吐50例(27.6%)、傾眠43例(23.8%)、浮動性めまい27例(14.9%)、適用部位そう痒感27例(14.9%)であった。
〔二重盲検相〕有害事象の発現率は、ノルスパン®テープ投与群77.6%(52/67例)、プラセボ群71.6%(53/74例)とノルスパン®テープ投与群の方が高かった。ノルスパン®テープ投与群の主な副作用は、悪心14例(20.9%)、嘔吐11例(16.4%)、適用部位そう痒感10例(14.9%)、適用部位紅斑8例(11.9%)、便秘7例(10.4%)であった。プラセボ群の主な副作用は、悪心9例(12.2%)、適用部位そう痒感7例(9.5%)であった。
〔追跡期〕有害事象の発現率は、ノルスパン®テープ投与群で23.9%(16/67例)、プラセボ群で8.1%(6/74例)であった。ノルスパン®テープ投与群の主な副作用は胃腸障害3例(4.5%)であった。プラセボ群の副作用は胃腸障害1例(1.4%)であった。
治験期間を通して死亡例は認められなかった。重篤な有害事象は7例(インフルエンザ、腓骨骨折・骨盤骨折、白内障、うつ病、メレナ・意識レベルの低下・脳梗塞、骨関節炎、入院(詳細不明)各1例)に認められ、ノルスパン®テープと因果関係が否定できない有害事象として用量漸増期に入院1例、二重盲検相にメレナ・意識レベルの低下1例が認められた。有害事象による中止は下表の通りであった。


有害事象による中止
a)二重盲検相終了/中止後(ノルスパン®テープ剥離後)30日間に発見した事象を含む

腰痛症2)

有効性

主要評価項目

二重盲検相での「鎮痛効果不十分」をイベントとしたカプランマイヤープロットは以下の図の通りであった。イベント発生までの期間は、ノルスパン®テープ投与群ではプラセボ群と比較して有意に長かった(p=0.0025、ログランク検定)。

カプランマイヤープロット(FAS)
副次的評価項目

「鎮痛効果不十分」となるイベントが発生した患者の割合は、ノルスパン®テープ投与群21.7%(15/69例)、プラセボ群44.9%(31/69例)と、プラセボ群に比しノルスパン®テープ投与群で低く、両群間に有意差が認められた(p=0.0064、フィッシャーの正確検定)。

鎮痛効果不十分となった症例の割合

安全性

安全性評価対象185例のうち、有害事象の発現率は94.6%(175例)であった。
各治療相における有害事象発現率は以下の通りであった。
〔用量漸増期〕有害事象の発現率は、89.7%(166/185例)であった。主な副作用は、悪心117例(63.2%)、傾眠55例(29.7%)、嘔吐55例(29.7%)、便秘49例(26.5%)、浮動性めまい37例(20.0%)、適用部位そう痒感27例(14.6%)であった。
〔二重盲検相〕有害事象の発現率は、ノルスパン®テープ投与群82.6%(57/69例)、プラセボ群63.8%(44/69例)とノルスパン®テープ投与群の方が高かった。ノルスパン®テープ投与群の主な副作用は、悪心11例(15.9%)、適用部位そう痒感10例(14.5%)、嘔吐7例(10.1%)、接触性皮膚炎7例(10.1%)、適用部位紅斑7例(10.1%)であった。プラセボ群の主な副作用は、適用部位そう痒感6例(8.7%)であった。
〔追跡期〕有害事象の発現率は、ノルスパン®テープ投与群で27.5%(19/69例)、プラセボ群で4.3%(3/69例)であった。ノルスパン®テープ投与群の主な副作用は不眠症4例(5.8%)であった。プラセボ群の主な副作用は倦怠感2例(2.9%)であった。
治験期間を通して死亡例は認められなかった。重篤な有害事象は4例(網膜剥離、嘔吐、椎間板突出、良性前立腺肥大症各1例)に認められ、ノルスパン®テープと因果関係が否定できない有害事象として用量漸増期に嘔吐1例が認められた。有害事象による中止は下表の通りであった。


有害事象による中止
a)有害事象による中止のうち、二重盲検相のノルスパン®テープ投与群1例(胃腸炎)は因果関係が否定されている
b)二重盲検相終了/中止後(ノルスパン®テープ剥離後)30日間に発現した事象を含む
  • 1) ノルスパン®テープ5mg, 10mg, 20mg承認時評価資料,変形性関節症 国内第Ⅲ相比較試験
  • 2) ノルスパン®テープ5mg, 10mg, 20mg承認時評価資料,慢性腰痛 国内第Ⅲ相比較試験
【用法および容量】

通常、成人に対し、前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7日ごとに貼り替えて使用する。初回貼付用量はブプレノルフィンとして5mgとし、その後の貼付用量は患者の症状に応じて適宜増減するが、20mgを超えないこと。